訪問作業療法士の活動BLOG

「人生100歳時代」を支えるためにできること

訪問リハビリの強い味方、「ストレングスモデル」について詳しく解説!

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神奈川県小田原市にある

訪問看護ステーションで

常勤の作業療法士をしています

吉岡 祐泰(よしおか ゆうた)です。

 

 

 

本日も当ブログをご覧くださり

本当にありがとうございます。

 

 

 

このブログでは、

今まさに日本が迎えようとしている、

「人生100歳時代」を支えるために

日々行っている活動を発信しています。

 

 

 はじめに

 

 

前回、少子高齢化社会である今の日本において、

訪問リハビリのあるべきアプローチモデルとして

「ウィークネスモデル」と「ストレングスモデル」

この2種類のアプローチモデルを紹介しました。

 

hourihaot.hatenablog.com

 

 

病院などの現場では、

医療モデルに基づいた

「ウィークネスモデル」を

用いることが多いのが現状です。

 

 

 

ですが、こと在宅においては、

クライエント・家族のQOLを第一に

考えなければならないと僕は考えているため、

「ストレングスモデル」に基づいた

介入が必要だと感じています。

 

 

 

今回は、その「ストレングスモデル」について

詳しく見ていきたいと思います。

 

 

 

ストレングスアプローチの基本

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ストレングスモデルは、

クライエント自身が持つ強みや、

環境の強みを総動員して、

クライエントの個性や意欲を引き出し、

その人らしい生き方を取り戻すための実践モデルです。

 

 

チャールズ・A・ラップによると、

ストレングスモデルは

次の4つのカテゴリーに分類される。

 

①人の性質・性格(正直、世話好き、話好き、親切、几帳面など)

 

②技能・才能(記憶力が高い、裁縫が得意、家庭での役割があるなど)

 

③関心・願望(人の役に立ちたい、料理を教えたいなど)

 

④環境(家族が協力的、経済的な余裕がある、ケアマネが信頼できるなど)

 

 

 

 

 

強みに関しては、

自分が自覚しているものもあれば、

自覚していないものもある。

 

 

 

そのため、本人以外にも

家族やケアマネなど他者からも

情報収集を行うことが大切です。

 

 

このストレングスモデルの強みは、

ケアプランやリハ目標設定との親和性が高く、

ほんにんの行動意欲が湧き上がりやすいメリットがあります。

 

 

 

大腿骨頸部骨折のクライエントに

ただ「歩行機能の獲得」を生活目標にするよりも、

このクライエントがクラシックを好んでいれば、

「半年後に葉加瀬太郎のコンサートに行く」

と設定でき、クライエントの行動意欲を

高めることができます。

 

 

服薬管理や体力づくり、生活習慣の見直しなど

普通に指導・提案されても意欲的に取り組めないことが、

強みを目標設定に絡めることで

本人の行動意欲を賦活し、主体性を引き出しやすくなります。

 

 

まずは、クライエントのもつ強みをよく聴取し、

強みを強調した生活の実現を図ることで、

生活や人生の質を高めることに繋がります。

 

 

 

 

訪問リハのアプローチはまず「参加」から!

 

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ストレングスモデルの重要性は、

実は別の側面もある。

 

 

 

平成27年度の介護報酬改定により、

中等度の要介護者や認知症高齢者への対応強化として

「活動と参加に焦点を当てたリハの推進」が

推奨されることになりました。

 

 

 

つまり、元々作業療法士の強みであった

「活動」や「参加」に対する介入の重要性が、

こうして明文化された形になります。

 

 

 

 これを活かさない手はないですよね、OT協会!

 

 

 

ですが、この「活動」や「参加」の定義って

結構あいまいなのをご存知でしたか?

 

 

 

2001年に世界保健機関から発表された

国際定義自体が曖昧なままなのです。

 

 

 

OTにとってはなじみ深い

国際生活機能分類(いわゆるICF)の定義の中で、

・活動:課題や行為の個人による遂行

・参加:生活、人生場面への関り

と定義されています。

 

 

 

活動は、いわゆるADL、IADLに関する

客観的な遂行状況を見る指標(FIM、BIなど)があります。

 

 

 

ですが、参加はその人の生活や人生場面への

主体的な関りのことであり、

日常生活における主体的な楽しみや

家庭や社会での役割、生きがいといった

主観的な状況を見る指標です。

 

 

 

客観的な指標がある分、

活動は臨床へ落とし込みやすい。

 

 

 

しかし、参加を促すといった場合、

その人の主体的な生活・人生の関りを充実させるために、

具体的にどうすれば達成されるかが不明確です。

 

 

 

その分、参加の目標といえば、

「家事復帰」や「仕事復帰」といった

型にはまった漠然としたものになりやすいです。

 

 

 

そこで大切になることとして、

クライエント自身と参加の強みを

強調する生活目標は、

結果として参加につながるということです。

 

 

 

例えば、①話し好き②孫好き③外出好き④家族が協力的

という4つの強みを持っている人であれば、

「3か月後に孫家族と一緒に外食へ行く」という

生活目標を立てることが出来る。

 

 

それにより、本人の中でも祖父(祖母)としての

自己意識が高まり、生活意欲も向上してきます。

生活意欲の向上がADLなどの取り組みに対しても

活性化を生み出していきます。

 

 

 

つまり、本人が達成したい「なりたい自分」像を意識し、

行動することから参加は始まります。

 

 

 

このような「なりたい自分」を

明確に意識しながら生活していくことは、

従来の心身機能改善から進めていく

医学モデルに基づくウィークネスモデルとは

真逆のアプローチとなります。

 

 

 

これからの訪問リハビリは

この考え方が主流になっていきます。

 

 

 

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

 

 

従来の医学モデルも大切ですが、

地域に出て活躍する訪問リハビリ士として、

よりクライエントのQOL

重視したプログラム提案が

出来るようになると、

OTとしての楽しみややりがいも

湧いてくると思います。

 

 

 

 

 

本日も最後までブログを読んで下さり

本当にありがとうございました。

 

 

 

【追伸1】

実は、常勤で訪問OTをしながら

ここの団体で「認定講師」をさせていただいています。

physical-trainer.net

 

 

 

 

従来の西洋医学に頼ったリハビリでは

改善が困難なケースも出てくると思います。

 

 

そんな問題を解決するヒントとして、

統合医療」の見方を知ると、

いままで見えてこなかった改善策を

見つけることが出来ると思います。

 

 

興味がある方は、

ぜひセミナーに遊びに来てください。

 

 

 

 

【追伸2】

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コメント欄にどんどん送ってください。

 

 

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